妊娠中にはなぜ風邪をひきやすく、治りにくいのか(妊娠中の免疫)
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ベテラン助産師の本村啓子です。
今回は妊娠中の免疫についてお伝えします。
妊娠は、母体と胎児という二つの異なる個体が一緒に存在する
非常に特殊な状態です。
この状態を維持するために、母体の免疫システムはいくつかの重要な調整を行います。
妊娠と母体の免疫システム
妊娠すると、女性の体は胎児を受け入れ、育てるために多くの変化を経験します。
胎児は母体とは異なる遺伝的要素を持つため、
通常の状況では「異物」として認識される可能性があります。
しかし、妊娠中には、母体の免疫システムが胎児を異物として攻撃しないように調整されます。
これにより、胎児は成長し、発達するための安全な環境を得ることができます。
免疫システムの調整
妊娠中の免疫システムの調整は主に以下のように行われます:
炎症反応の抑制
炎症は免疫システムの一部で、体が感染や傷害に反応する方法です。
妊娠中はこの炎症反応が部分的に抑制されることがあります。
これは、胎児が炎症によって損傷を受けるのを防ぐためです。
胎盤の役割
胎盤は母体と胎児の間のバリアとして機能し、特定の免疫細胞の移動を制限します。
これにより、胎児が母体の免疫システムに「見つからない」ようになります。
免疫細胞のバランスの変化
妊娠中は、免疫システムの一部である特定の免疫細胞(T細胞など)のバランスが変わります。
これにより、胎児への攻撃が抑えられる一方で、
感染に対する母体の防御能力が低下することがあります。
免疫力の「低下」ではなく「変化」
妊娠中の免疫システムのこれらの変化は、必ずしも免疫力の「低下」を意味するわけではありません。
むしろ、これは免疫システムが非常に複雑で繊細なバランスを保っていることを示しています。
この調整は、胎児を保護し、同時に母体を特定の感染から守るために不可欠です。
妊娠中の感染リスク
これらの免疫調整の結果として、妊婦は特定の感染症、特にウイルス感染症に対してより脆弱になることがあります。
例えば、インフルエンザや尿路感染症は妊娠中により重症化しやすいと報告されています。
妊娠中は人込みを避けたり、病気の流行中は出歩かないなどの
対策を取りましょう。
健康維持の重要性
妊娠中の免疫調整を考慮して、妊婦は以下のような健康管理が推奨されます
バランスの取れた栄養摂取
ビタミンやミネラルを含む健康的な食事が重要です。
ウイルスに負けない体つくりが必要です。
定期的な医療チェック
妊娠中は定期的な産科診察が必要です。
無料診察券で妊娠期間中に複数回の血液検査があり異常の早期発見に努めます。
ですが突発的な病気の場合は遠慮せずに
病院に相談しましょう。
予防接種
インフルエンザや破傷風など、妊娠中に推奨されるワクチンを受けることが大切です。
適切な運動
安全な範囲での運動は、免疫システムの健康維持に役立ちます。
通常20分程度の散歩で十分です。
身体と心の管理のためにも、軽い運動を取り入れましょう。
十分な休息とストレス管理
睡眠とストレスの管理も免疫機能に影響を与えるため、これらを適切に管理することが重要です。
妊娠は女性の体にとって大きな変化でありこの期間中の免疫システムの調整は
胎児の発育と母体の健康を守るために不可欠です。
これらの変化を理解し、適切な健康管理を行うことで
妊娠中のリスクを最小限に抑え、健康的な妊娠期間を過ごすことができます。
まとめ
ほんとに人間の身体って不思議ですよね。
すごく緻密にできているんだなと思います。
生命って素晴らしいですね。
皆さんもそんな、素敵で元気な新しい命を、無事にこの世に生み出してくださいね。