妊娠中と出産後の栄養素

ベテラン助産師の本村啓子です

産前産後の栄養摂取は、母体の健康だけでなく、

胎児の発育や妊娠中および出産後の身体の回復にも重要です。



今回は、妊娠中および出産後の栄養素とその摂取量

および解決策としての具体的な食品や量について書きます。



  妊娠中および産後の栄養摂取量の目安


葉酸


胎児の神経管形成に必要な栄養素であり、葉酸の不足は

神経管閉鎖障害のリスクを高める可能性があります。


妊娠中は胎児の成長や発育にとって重要な期間であり、

十分な葉酸を摂取することが重要です。


妊娠初期から妊娠12週間までの期間、妊娠後期までの間、

1日400μgの葉酸を摂取することが推奨されています。


鉄分


妊娠初期では通常の摂取量に対して追加で2.5mg/日

中期および後期では15mg/日の追加が推奨されます。

 

母体の血液量が増加しますがこの増加した血液量に対して、

赤血球の数やヘモグロビン量が増えない場合、血液が薄まり貧血が起こりやすくなります。


また胎児の成長や母体の血液量の増加により、鉄分の需要が高まるため

妊娠中は貧血のリスクが高まるのです。


カルシウム


妊娠中のカルシウム摂取量の追加はありませんが、

成人女性の推奨量は650mg/日です。

カルシウムは赤ちゃんの骨や歯の形成に重要な栄養素です。


もし母体が妊娠中にカルシウムを十分に摂取しない場合、

胎児のカルシウム需要を満たすために母体の骨からカルシウムが奪われることがあります。


食物繊維


妊娠中はホルモンの影響や物理的な影響で

便秘が起こりやすいため、

積極的に食物繊維を摂取することが重要です。

成人女性の推奨量は18g/日以上です。


ビタミンA (VA)


妊娠後期では追加で80μgRAEが推奨されています。

ビタミンAは胎児の正常な発育に不可欠であり、妊娠中は十分な摂取が必要です。


胎児の細胞分化と成長に重要な役割を果たします。

特に、胎児の器官や組織が形成される際に欠かせない栄養素です。

またビタミンAは視覚の発達に必要な物質であり、免疫系の機能にも影響します


ビタミンD (VD)

 

妊娠中は1日7㎍の摂取が必要です。

ビタミンDは胎児の骨や歯の形成に必要であり、

不足すると骨粗しょう症のリスクが高まります。


また免疫系の調節にも関与、感染症や炎症などの病気に対する抵抗力を向上させます。

神経系の発達、筋肉の機能、心臓血管系の健康にも重要です。

ビタミンB1 (vb1)


 妊娠・授乳中は1日1.3mgの摂取が推奨されています。

ビタミンB1はエネルギー代謝に関与し、神経系の正常な機能を維持するのに重要です。

また、消化器系や心臓の正常な機能維持にも重要です


具体的な食品や量


葉酸

緑黄色野菜(ほうれん草、レタス、ブロッコリーなど)、豆類(大豆、豆腐)、

穀類(全粒穀物、小麦胚芽など)、果物(アボカド、バナナなど)、肉類(レバー)、

卵、牛乳などが葉酸の豊富な摂取源です。


妊娠中の女性は通常の食事からの葉酸摂取に加えて、

葉酸サプリメントを摂取することが推奨されています。


鉄分

赤身肉やレバー、ほうれん草などの鉄分豊富な食品を積極的に摂取しましょう。

一般的に、赤身肉100gあたり約2~3mgの鉄分が含まれています。


カルシウム

牛乳やチーズ、豆腐などのカルシウム豊富な食品を摂取しましょう。

例えば、牛乳1杯(約240ml)には約300mgのカルシウムが含まれています。


食物繊維

野菜や果物、全粒穀物などの食物繊維が豊富な食品を摂取しましょう。

例えば、1つのりんごには約4gの食物繊維が含まれています。


ビタミンA (VA)

 キャロットやスイートポテト、マンゴーなどのビタミンAが豊富な食品を摂取しましょう。

1個のスイートポテトには約20000IUのビタミンAが含まれています。


ビタミンD (VD)

魚介類や卵黄、キノコなどのビタミンDが豊富な食品を摂取しましょう。

例えば、100gのサーモンには約600IUのビタミンDが含まれています。


ビタミンB1 (vb1)

 玄米や豆類、ナッツなどのビタミンB1が豊富な食品を摂取しましょう

玄米1杯には約0.5mgのビタミンB1が含まれています。



  まとめ


以上の食品をバランスよく摂取することで、母子の健康を保ちましょう。


野菜の栄養価が落ちているという傾向があり、

栄養素の減少などの要因により、野菜だけではビタミンなど不足する場合があります。


特定の栄養素が不足していると感じる場合には、

サプリメントを利用することが選択肢として考えられます。


ただ、サプリメントは食事からの栄養摂取を補うものであり、食事を置き換えるものではありません。

また過剰摂取には気をつけなけでば行けないため

医師に相談しながらとるようにしましょう。


マタニティ期の影響は、直接ベビーの

神経発達などの影響するとも言われていますので

気を付けていきましょうね。